8.21
今日は8.29、ライブだった。今週も。
今は目の前の大雄山線の運行が終わって
全部の電気が消えたのだった。
僕はホームの椅子、湿度の高い
外の空気を吸っている。マスクの中は汗だく。
8.21ライブの直後、母からLINEが来た
「太郎が天国に行っちゃった」
太郎とは飼い猫である。
7月終わりから怪しかったのだが
日に日に弱る愛猫。
何もしてあげられなかった。
いや、それは嘘になるかもしれない。
俺のできる事はやった。
けどもっと出来たとも思う。
覚悟はしていたからLINEが来た時は
流石に大丈夫だった。頭ん中で予想してたからだ。
俺は「よく頑張った。」心の底から思った。
心の底を感じた。
普通に家まで帰った。
なるべく何も考えない様に。
母は疲れていた。弟も。
隣の部屋の父をまたいで
ダンボールに入った太郎が寝ていた。
起きそうな気がした。
まだらな両手足も、いつも撫でてやる鼻頭も
いつもよりずっと冷たいだけな気がした。
気がしてたくせに涙が止まらなかった。
ありがとう、また帰ってきて、なんもしてやれなくてごめんな、大好きだよ、また会おうよ。ずっと忘れないよ。
伝わってんのか、伝わってないのか
わからん言葉をずっと唱えて。
ただいまの声で起きて寄ってくるそんなお利口な子はもうこの世に、この場所にいないのだ。居ても見えない、触れない。
今も泣いている。
これから帰ってもいない。
寂しい、まぶたなど瞑らなくても、顔と鳴き声はずっと聞こえる。
この悲しみも君の為に全て費やそうと思う。
僕は正直、何の為に音楽をやって行けばいいか分からなくなっていた。
でもよくよく考えると自分の好きな事をやってる。
答えは分かっていたのだが気持ちは乗らなかったというのが正解だ。
そう答えはいつも自分だった。今も自分だ。
だから何もかも終わるのがずっと怖かった。
終わりに近くになるのが怖かった。
だから中途半端だった。
音楽は自分にとって何か分からなかった。
でも冷静になれば音楽は何らかの「答え」なのだ。
この子の前に死んだ猫があまりに突然だった、だからまた失うのが怖くて、
中途半端に君を愛していた気がした。
こんなに後悔するなら
中途半端にやるなら辞めよう。
悩んだ。
音楽を辞めるか。
全部辞めよう。
いっその事もう全て。
そう思った。
この言葉を書くのに後悔しそうで、
日をまたいで今日は8.30
ただもし全部をやめて、帰って来るなら
全部辞める。
ただ消えた命はもう100%帰って来ない。
何をやってももう仕様がない。
無理なのだ。
数えた。
僕には何があるかを。
命、家族、友達、恋人、音楽、バンド、仕事、家、少ないが金、好きなもの、嫌いなもの、
何でもある。
こんなに揃ってるのだ。
何が不自由なのだ。自由とはなんだ。
きっと考え方次第で不自由、自由なのだろう。
今君の為に出来る事はない。
今君が居ないから。顔も心も分からないし。
君が何か願うなら何でも叶えてやる。
ただ願う君が居ない。
もう生きるしかないのだ。
少し関係ないが
人に優しく、良くする理由なんてわからなかった。
でも自分に良くしてくれる人がもうこの世から居なくなった時、何もしてあげられなかったという後悔、自責を始めてしまうからだと思う。
この後悔は一生消えない。いやでも消してたまるか。太郎、ありがとう。
もうまた日にちが経って8.31
全て表現してみようと思う。
生きづらさも、不器用さも、楽しさも。
音楽を軸に。
俺が出来る事は全部やろうと思う。
辞めようなんて思わない、でもオモロなきゃ、辞めてもらっても構わない。
泥臭く、かっこ悪く、面白く、美しく、
良い音楽、良い物、美しい自分を作っていきたいと思う。
真当に、真帳に、真っ直ぐに。
ありがとう、太郎。